ユキが瞳と話し合ってる頃、廊下を歩いていた仁は後ろから追いかけてきたマリに声を掛けられていた。
何事かと思えば、カラスが教室に入って来たことを聞かされた。
仁はその話にハッとして、心乱された。カラスといえば、何かとあの事件でも関わった動物だった。
何も知らないマリは面白そうにカラスが運んできた葉っぱを仁に見せた。
「この葉っぱなのよ。折角だから新田君からユキに渡しておいて」
マリにしてみれば、話のネタとしてユキをからかうつもりでいたが、仁はそれが偶然の出来事に思えない。
葉っぱを手に取り、真剣な目でそれを見つめた。
「どうしたの、新田君。その葉っぱなんかあるの?」
「えっ、別になんでもない。だけど不思議なことがあるもんだね」
仁はごまかす。
「そうなのよ。でもね、よく考えたらユキって動物に好かれるって言うのか、なんか猫や犬がいつも近くに寄って来ていたわ。新田君は気が付かなかった?」
「えっ、そ、そうだったかな? でも犬猫だったらいつでもどこでも見かけるし偶然なんじゃないの」
「そうかもしれないけど、ユキの場合いつもじーっとその動物から見られてる気がしたのよ」
マリの言葉には大げさに冗談も混じっているのだろうが、仁の思いは複雑だった。
「だけどユキは猫が特に好きだから、見かければ自分の方から寄って行くからじゃないの」
何でもないことのように仁はやり過ごしたかった。
「でもね、ユキと一緒にいるとスズメですら足元に下りてきたりするから不思議だったの。そのカラスもなぜそんなものをユキの机の上に置いて行ったんだろう。なんか不思議でさ。動物に好かれる特別な力でも持ってるんじゃないかって思えちゃう」
無邪気に笑うマリに仁もお愛想で無理に微笑む。しかし思い当たる原因を知っているだけに内心悠長に笑っていられなかった。
暫くマリと世間話をしつつ、マリと離れると落ち着ける場所を探してすぐにユキに電話を掛けたのだった。
何事かと思えば、カラスが教室に入って来たことを聞かされた。
仁はその話にハッとして、心乱された。カラスといえば、何かとあの事件でも関わった動物だった。
何も知らないマリは面白そうにカラスが運んできた葉っぱを仁に見せた。
「この葉っぱなのよ。折角だから新田君からユキに渡しておいて」
マリにしてみれば、話のネタとしてユキをからかうつもりでいたが、仁はそれが偶然の出来事に思えない。
葉っぱを手に取り、真剣な目でそれを見つめた。
「どうしたの、新田君。その葉っぱなんかあるの?」
「えっ、別になんでもない。だけど不思議なことがあるもんだね」
仁はごまかす。
「そうなのよ。でもね、よく考えたらユキって動物に好かれるって言うのか、なんか猫や犬がいつも近くに寄って来ていたわ。新田君は気が付かなかった?」
「えっ、そ、そうだったかな? でも犬猫だったらいつでもどこでも見かけるし偶然なんじゃないの」
「そうかもしれないけど、ユキの場合いつもじーっとその動物から見られてる気がしたのよ」
マリの言葉には大げさに冗談も混じっているのだろうが、仁の思いは複雑だった。
「だけどユキは猫が特に好きだから、見かければ自分の方から寄って行くからじゃないの」
何でもないことのように仁はやり過ごしたかった。
「でもね、ユキと一緒にいるとスズメですら足元に下りてきたりするから不思議だったの。そのカラスもなぜそんなものをユキの机の上に置いて行ったんだろう。なんか不思議でさ。動物に好かれる特別な力でも持ってるんじゃないかって思えちゃう」
無邪気に笑うマリに仁もお愛想で無理に微笑む。しかし思い当たる原因を知っているだけに内心悠長に笑っていられなかった。
暫くマリと世間話をしつつ、マリと離れると落ち着ける場所を探してすぐにユキに電話を掛けたのだった。



