恋の宝石ずっと輝かせて2

「このままじゃ埒があかないな。どうすればいいんだろう」

 仁は齟齬をきたしたように眉根を寄せた。

「もし、私が見た男がカジビだったとしたら、かなりのヒントを得たのかも。もしかしたらまだ続きがあるのかも」

 ユキは恐れながらも石を手に取った。

 だが、先ほど感じたようにはならず、映像も見えなかった。

 まるで石の方が力が尽きたとも言いたげに、その白い石はそれ以上のアクションを起こさなかった。

 ユキは首を横に振って、がっかりした表情を見せた。

「一体どんな男だったんだ? 特徴を覚えてないか」

「はっきりとは思い出せない。曖昧に映像が残ってるって感じ。でも本人を目にしたら見分けられるかも」

「とにかく僕にも分かるように絵に描いてみて」

 ユキは電話の隣に添えていたメモ用紙を一枚ちぎって持ってくると、ペンで描き出した。

 だが仁の顔が引き攣ってくる。

「おい、ユキ、それじゃ幼稚園の子供が描く絵じゃないか」

「だって仕方ないでしょ。絵心なんてないんだもん」

 それでもユキはイメージを絵にしようと頑張ってみる。最後、首筋に一本の線を付け足した。

「その線はなんだい?」

「なんだかここに傷があったような気がする」

 その傷ですら、傷に見えないただの直線だった。

 ユキもさすがに自分の絵の酷さに呆れて苦笑いになっていた。