恋の宝石ずっと輝かせて2


「どうしたの仁?」

 ユキが立ち上がり心配そうに仁を覗き込んだ。

「いや、なんでもない」

 仁は否定するも、何かがおかしいと石を見つめていた。

 この日何度も頭が痛くなり、倒れこんだ原因にこの石が係わっているのではないかと疑わずにはいられない。

 この石を手にしてから頭痛が頻繁に起こったと考えられるからだった。

「それにしても、珍しい石だね。乳白色で陶器のような滑らかさ。そしてハート型なんてかわいい。ちょっと見せて」

 仁はユキにその石を手渡すのを戸惑ってしまう。

 ユキがさっき倒れこんだのも、この石を自分が持っていたために起こったことだとしたら──。

 だが対策を立てる暇もなく、ユキはいとも簡単に仁からその石を奪ってしまった。

「あっ、ユキ!」

 仁が慌てると同時に、ユキは突然電流に触れたようにビリビリとして、体を硬直させ、目を異常に見開いて前を見つめる。

 その様子は充分に仁を怖がらせた。

「ユキ! その石から手を離すんだ」

 仁は石を持っていたユキの手を叩いて振り落とした。石は床に軽やかな音を立てて転がった。

 ユキは暫く放心状態だったが、目をぱちくりして辺りを見回した。

「ユキ、大丈夫か」

「……今、映像が見えた」

 ユキのその言葉で、仁はやはりこの石には何かあると確信した。

「僕も、この石を手にすると頭が痛くなるんだ」

 ふたりはじっと床に転がっている石を見つめた。

「この石、一体なんなの? 瞳ちゃんから貰ったって言ったわよね。瞳ちゃんはこの石のこと何か言ってなかった?」

「瞳ちゃんはこの石を持ってると願いが叶うといっていた。大切な宝物みたいだったけど、僕に受験のお守りとしてくれたんだ」

「でもこの石をどうやって手に入れたんだろう」

 ユキはその石を妖しく見ていた。