恋の宝石ずっと輝かせて2

「ユキ、ユキ、しっかりしろ」

 何度とユキの頬をペチペチと叩きながら、仁はすぐに意識が戻らないユキに慌てていた。

 ユキの目が開いたとき、仁は歓喜に声を上げた。

「ユキ! もうびっくりさせるなよ」

「仁、ここは? 私戻ってきたの?」

「何言ってんだよ。まるで天国に行きそびれた言い方じゃないか。脅かすなよ」

「違うの、私、さっきトイラに会ったの。意識と意識だったけど、ほんとにトイラに会えたの」

 ユキは意識の中の出来事を説明する。もちろんキスしたことは省いてだったが。

「そっか、意識同士だったとはいえ、会えたのか。それはよかった……」

 自分を押し殺し、ユキのことを第一に考える仁。でも言葉には虚しさが含まれる。

「会ったことでこのままでいいなんて思っちゃったけど、トイラに早くカジビを見つけて人間にしてくれって言われたから戻ってきちゃった。トイラも私に会ってやっぱり人間になりたいって思ってくれたに違いないわ」

 仁にはわかっていた。トイラはユキを戻すために嘘をつき、現実に引き戻すきっかけを作っただけに過ぎない。

 トイラは自分が人間になることには否定的だ。その理由もなぜだか仁は知っている。

 しかしこの計画はユキのためにも突き通さなければならない。

「ああ、何が何でもカジビを見つけないとな」

 仁は力を込めた笑顔を作っていた。それが不自然に見えないことを願って。

 ユキが立ち上がろうとしたとき、白い物が床に落ちてるのが目に入った。

「あれ、なんだろう」

 ユキの示す方向を仁も見れば、そこには瞳からもらった石が落ちていた。

「あれは、瞳ちゃんから貰った石だ。ポケットに入れたのがトイラに殴られた拍子に落ちたんだ」

「えっ? トイラに殴られた? って、それ私が殴ったってことじゃない。どうして? 何があったの?」

「いや、別に何でもない。ちょっとふざけてて、その……」

 その話はうやむやに誤魔化そうと、落ちていた石を仁は拾いに行った。

 その石を手にしたとき、また突然の頭痛に襲われ、仁は顔をしかめていた。