恋の宝石ずっと輝かせて2

「ユキ、これは正しくない方法だ。ユキは今どうすべきかわかるだろう。早く戻るんだ」

「いや!」

 トイラの恐れていたことだった。ユキは段々とこの世界が自分のいるべき場所だと思い込み始めている。

 なんとかしなくてはならない。

 トイラはありったけの優しい笑顔をユキに向け、そしてもう一度ユキを自分の下に引き寄せそしてキスをした。

 ユキはなすがままに、それを受け入れ益々ぼーっとする。

「ユキ、俺をここから出しておくれ。早くカジビを見つけるんだ。そうすれば俺は人間になれるんだろ。ユキの意識の中ではなく、現実の外の世界で君を抱きしめたい」

 トイラの術に掛かったようにユキはこっくりと頷いた。

「うん。そうよね。早くトイラを人間にしないと。そうよ、カジビを見つけないと」

「そうだ、その通りだ。だから早く目覚めるんだ」

 ユキは現実に戻らなくてはと強く心に願うと、すーっと気持ちがどこかに吸い込まれていくように姿を消した。

 トイラはほっとしたように力が抜け、木の麓に腰を下ろした。

 意識が重なったとはいえ、ユキを再び自分の手に感じられたことは素直に嬉しかったが、丸呑みで喜んでもいられない。

 なぜこのような事が起こってしまったのか。その原因は自分にあるだけじゃないことに気がついていた。