恋の宝石ずっと輝かせて2

「トイラなのか? ユキが倒れそうになるほど突然出てくるなよ」

 まだ咳が残りながらも、なんとか声を絞り出す。

「俺のせいじゃない。ユキが勝手に倒れたんだ。だから慌てて出てきたんだよ。仁が変な行動するからユキは慌てて立ったときに立ちくらみを起こしたんじゃないのか」

「ぼ、僕のせい?」

 トイラは仁をソファーに座らせ、ため息を一つついた。

 でもその姿はユキなので、やっぱり仁は戸惑う。

「お前の気持ちも分からないでもないさ。仁は今までずっとユキを支えてきたもんな。俺もそれはずっと見てきたよ」

 同情するかのように悲しげな目を向けられるが、それがユキの表情を通してなので仁は益々複雑になって目をそむけた。

「ユキの姿をしたトイラに言われても全然慰めにもならないよ。放っておいてくれ。これは僕の問題だ」

 トイラも仁のそんな様子にどうしていいのか分からず、一度大きくため息を吐き出す。

「それなら自分が納得いくまでユキと話をするしかないな」

「何を納得するまで話せばいいんだよ。話すことなんて何もないんだ。この一年、ユキとずっと一緒にいてもユキは僕のことなんて空気のようにしか思ってなかった。それでも僕はバカだからいつか報われるってそう信じてたところがあった。でもやっと気がついたよ。僕はユキの心には絶対入り込めない」

「バカ野郎! この先もユキの側にいてやることができるのは、仁、お前だろ」

「なんで僕なんだよ。トイラだってユキのこと好きなくせに。今更お情けかよ。だったらそんな見えすぎた慰めなんていらないよ。それにカジビを探せば、ユキはやっとトイラと結ばれることができるじゃないか。僕は絶対にカジビを探してトイラを人間にしてやるから。そしたら僕もこれでやっと諦められるし……」