恋の宝石ずっと輝かせて2

 失望したような黒くぼやけている仁の目がユキをはっとさせる。

 ユキにしても、トイラを失ったと思ったときから苦しみ、そして知らずといつも側にいる仁を頼るように過ごしてきた。

 トイラとの想い出を唯一共有できる立場から、仁だけが自分の気持ちを分かち合い、仁といるときが最も安心できて慰められた。

 仁は惜しみない優しさで、いつまでもユキの気持ちを尊重してくれた。

 それが当たり前すぎて、仁が自分に惚れていることを知っていながらそれを利用するように側に居た。

 仁が言った最後の一言はユキの心に突然差し込むように罪悪感を与えた。

「ごめん。そういうつもりじゃなかったんだ。つい……ごめん、仁」

 仁もまたユキの謝罪をどう受け止めていいのかわからない。

 自分が発した言葉は自分に返って来るように自分自身が責められてしまう。

 自分の気持ちを無理に押し付けていたつもりなどなかったが、あの言い方では自分に利益があってもいいような押し付けがましさが虚しく響く。

 仁もまた後悔するが、処理の仕方がわからずに自らの言葉に気持ちを惑わされていた。

 突然静まり返ったとき、手持ちぶたさで目の前のグラスを手にして、仁は勢いで麦茶を飲んだ。

 その勢いが仇となって気管に入り込んで突然むせて咳き込んでしまう。

 体が飛び上がるくらいの咳を吐きながら、仁が苦しみ出してユキもまたびっくりしてしまった。

「仁、大丈夫?」

 心配して咄嗟に立ち上がり、側まで駆け寄って仁の体に触れたときだった。

 突然ユキは頭にずきっとする痛みを感じ、その直後意識が遠くなってユキの体もぐらついた。

 苦しそうに咳をしながらも、仁はむせ返りながらユキを支えようと踏ん張るが、仁もまたふらついてしまった。

 ふたりともバランスを崩して一緒に倒れそうになるその瞬間、ユキが機敏に体制を立て直して仁を支えた。

「おい、仁しっかりしろ」

 ユキの声だが喋り方が男っぽい。トイラだ。

 ユキが倒れ掛かった一瞬でトイラが出てきていた。