恋の宝石ずっと輝かせて2


 仁がユキの家にやってきたとき、時計は午後四時になろうとしていた。

「仁、遅かったわね。今までどこにいたの?」

 玄関でユキの顔を見るや、仁はやっと安心してほっとする。

 家に上がり込みながら、仁は話し始める。

「そ、それがさ」

 命からがら逃げてきたような話でもするように、仁は瞳のことから亀を捨ててカネタに脅かされたことまでの一部始終を語った。

 ユキはそれを聞きながら、冷たい麦茶をグラスに入れて、ソファーの前のセンターテーブルにそれを差し出した。

 仁は冒険話の小説のように大げさにまだ話し続けている。

 ユキも多少の脚色をおかしげに笑いながら安楽椅子に腰を掛け、仁の話を最後まで聞いた。

「なんか大変だったわね。瞳ちゃんって積極的な子だと思ったけど、おじいさん、おばあさんゆずりだったのね。でもお母さんの花梨さんがまともで助かったね」

 他人事のように笑いながらいうユキに、仁はどこか物足りなさを感じてがっかりしてしまった。

 少しは心配してくれてもいいじゃないか。

 いや、それとももっと他の感情があっても──。

 そんな気持ちを口には出せないが、さらにその後のユキの言葉で仁は傷ついてしまう。

「だけど、瞳ちゃんってかわいいし、家もお金持ちだし、逆玉の輿狙えるじゃない」

 カネタにも同じように言われたが、ユキの口からそういう言葉が軽く出るのが気に食わなかった。

「なんだよ、僕はユキのことが好きだっていってるだろ。どうしてそんなこと軽々しく僕に言うんだよ。僕がずっとどういう気持ちでいたかユキには全くわかってないんだ!」

 いつもなら軽く流せたかもしれない。

 しかし、トイラが再び現れて、人間になれる方法があるかもしれないこの時、仁は自分の心に嘘がつけなかった。