恋の宝石ずっと輝かせて2

 仁が気がつくと木の枝の緑の葉っぱがさやさやと揺れている光景が目に入った。仁は畑のすぐ側の木陰で寝かされていた。

 むくりと起き上がり、前方を見れば、さっきの男が目の前で畑仕事をしていた。

「おっ、気がついたか。大したことなくてよかった。心臓発作で死んだらどうしようかと思ったぞ」

 首に掛けていた手ぬぐいで汗をふき取りながら、男は仁のところへ近づいてきた。

「ほら、ぬるくなってるけど、水分補給だ。飲め」

 ペットボトルに入った水を手渡され、仁は夢見心地ながらそれを手に取った。

「あ、あの、さっきはどうもすみません」

「もういいって。俺は八十鳩さんとこで雇われてるカネタっていうもんだ。この辺りの畑を任されてるから、あんたが森の中に入っていくところみて不審に思ってちょっと脅かしただけなんだよ。よほど怖かったみたいだな」

 外で働いてるだけあって肌は日焼けして黒く、体も筋肉質で締まっていた。

 年はおじさんと呼べるほど老けてもないが、仁の目からみれば、三十前後に見える。

 目がやや細いのできつい感じだが、ニカッと笑った笑顔を見せたので悪い人じゃないんだと仁はほっとした。

 ペットボトルの蓋をとり、水を喉に流し込む。

 水が体に浸透して喉の渇きは癒されても、頭のズキズキ感は拭えなかった。

 血液が運びこまれるごとく、それにそってどくんどくんと少し痛む。

 我慢できないほどでもなかったので、何もない様子でカネタに笑顔を見せた。

「何から何までご迷惑お掛けしてすみません」

「八十鳩のお嬢さんの知り合いだし、まあ、いいって。俺も過度になりすぎただけだ。悪かった」

 カネタの素直な謝罪で仁は益々打ち解けていくようだった。