恋の宝石ずっと輝かせて2

「ああ、あれね。うちの家ではあの家の嫁が出入りするときは、あの祠に必ずお参りをするしきたりなの。一種の挨拶みたいなものなのよ」

「なんか面倒臭いですね」

 仁は花梨が苦労してそうな気になって同情してしまった。

「仕方がない決まりなのよ。嫁の立場だから、あの家にとったら部外者でしょ。そこでこの山の神様に向かってしっかりと自分の立場を知らせるの。この家の者と同じように山神様を信仰しますってね。あの家の家系は山神様の祠に一番近づける選ばれた人たちなの」

「そういえば、お世話をするとか聞きました」

「この辺りは特に古い仕来たりを気にするでしょ。山には山神様がいらっしゃって、それに仕える選ばれた小神様たちも居て、そこに八十鳩家も人間界を代表してお世話係として加えられたと信じられてるの。お世話といっても、供え物をしたり、掃除をしたりってそれくらいなんだけどね。だけどこんな話、新田さんにしたら信じられないどころか、怪しげな宗教みたいよね」

「いえ、そんなことはありません。すごく大切なことだと思います!」

 事情を知ってるだけに仁は自信を持って言った。

「新田さんって素直な方なのね。瞳も爺婆も気に入るはずだわ」

 花梨はくすっと笑っていた。

 この件に関しては事情を知ってるだけに自分の方が詳しく語れるだろうと思うと、おかしくなって仁も釣られて笑ってしまった。

 家まで送ると言われたが、結局は良子の動物病院まで送ってもらう事にした。

 そこで降ろされると、仁は丁寧にお礼を言う。

「新田さん、これに懲りず、瞳のこと嫌いにならないで下さいね。母親としての贔屓目なんですけど、あの子とっても自分に正直で素直なところもあるんです」

「それはわかってます」

 仁の言葉を聞くと花梨は安心して、クラクションを一つ鳴らしてその場を去っていった。

 仁は暫くその車を見送り、そして動物病院の中に入って行った。