恋の宝石ずっと輝かせて2


「ごめんなさいね」

 ハンドルを握りながら、花梨が優しい声で謝った。

「いえ、そんな、こっちはご馳走になった上に送って頂いて有難いくらいです」

 仁はなぜ謝られてるかわからない。

「ううん、うちの爺婆攻撃のことよ」

「ジジババ攻撃?」

「あの人たちのことだから、どんなに否定しても、まるで新田さんを婿入りさせるつもりでうちの瞳とくっつけようとしたでしょ」

「えっ、どうしてわかるんですか」

 その通りだったから仁が驚いて花梨をみれば、花梨は悲しげに笑みを浮かべた。

「嘘をついても仕方がないから、はっきりいうけど、うちは本気でお婿さんを探しているの。瞳も昔から新田さんに憧れてたし、楓太でお世話になる良子先生の甥ごさんと知ってるだけに、うちの爺婆にとったら理想の婿候補なのよ」

「ええ!」

「驚いたでしょ。悪い人たちじゃないんだけど、うちは家の都合上どうしても跡継ぎがいるの。だから二人は早くから婿探しに必死なわけなの。私が男の子を産めなかったばっかりに……」

 花梨が寂しそうな目で前方を見つめている姿を見ると仁はいたたまれなくなった。跡継ぎが産めないと困る──歌舞伎の世界の梨園みたいだ。

「でも花梨さん、まだお若いですし、産めなかったと過去形にするのはまだ早いかも」

「別に気を遣うことはないのよ。でもこんな話をした私が悪かったわね。本当にごめんなさいね」

「いえ、その」

 仁は子供が言うような言葉じゃなかったと少し気まずくなったが、そこで話を変えようと表庭にあった小さな祠のことを訊いた。

「あの、ところで、さっき家から出てくるとき祠に手を合わせてましたよね」