恋の宝石ずっと輝かせて2

「あの、だから僕はその、瞳さんとは交際してません」

「はいはい、まだ交際してないから清い関係だってこといいたいくらい分かってますから」

 また祖父が言った。

「だから、そもそもふたりの間には何も始まってなくて、その」

 仁は必死に説明しようとする。

「いいんですって、そのことはなんとも思ってませんから」

 祖母も一向に話の方向を変えない。

 このふたりにはなぜか誤解が解けず、馬耳東風になっている。

 なぜここまで自分と瞳をくっつけようとしているのか、仁には到底理解できない。

「ただいま、あら、お客様?」

 その時誰かが入って来た。瞳の母親、八十鳩花梨(やそばとかりん)だった。

 高校生の娘を持つ母親ながら、若々しく見え、瞳の姉と言われても充分通じるような風貌だった。

 ショートヘアーが元気はつらつとしてきびきびした印象だった。

「花梨さん、ちょうど良いところに帰ってきたわい。この方は瞳の彼氏……」

 祖父がいいかけたとき、仁は畳み込むように大きな声で自己紹介した。

「と、『友達』の新田仁と申します。はじめまして」

「あっ、はじめまして。瞳の母親の花梨(かりん)です。いつも瞳がお世話になってます」

「いえ、僕は何もしておりません。あの彼氏でもありませんし、付き合ってもいません」

「はっ?」

 仁の慌てぶりに花梨は祖父母に目を移した。

 二人がニコニコしているのをみて状況を寸時に飲み込んだ。

「新田さんって、もしかしてあの繁華街のはずれにある動物病院の良子先生の甥ごさん?」

「はっ、はい」

「そうですか。ようこそ来てくれましたね。確か今は高校三年生ですよね。受験勉強で”忙しい”ときですよね」

 花梨は何やら噛み締めて忙しいを強調した。

「まあ、そ、そうなんですけど」

「そしたら家まで車でお送りしますわ」

 花梨は仁を逃がそうと誘導するように手招きする。

 仁も遠慮するどころか、それにすがるようについていった。