恋の宝石ずっと輝かせて2

「申し訳ございませんが、ぼ、僕はまだ高校生で……そんな大それたことを言われましても返答に、こ……困ります!」

 最後だけは勢いで片付けた。

 お陰で全力を出し切ったようにはあはあと肩で息をしていた。

「そうだよ、お祖母ちゃん。初めて会った相手にそれはないよ」

 瞳もその場を取り持ってはいるが、顔を見れば照れた様子であまり祖母を諌めてない。

 そこへ、蕎麦を入れた大皿を持って瞳の祖父が入って来た。

 引きつっている仁の顔つきを見て、異様な空気が流れているのをすぐに察知した祖父は、その場を良くしようと物腰柔らかく様子を窺う。

「どうか、なさったでございますか? 新田さん」

「あ、いえ、その、あの」

 仁は瞳の祖母をチラリと見て、困っている様子を伝えようとする。

「それがね、お爺さん、今、瞳の婿にってちょっとお話してしまって」

 残念な表情をする祖母。

「お前、そんなこと言ったのか。そんな急なこと、新田さんも困るだろうに」

 瞳の祖父はなんとか常識がありそうだった。

「それにしても、先走ってしまってすみませんでした。家内はつい思ったことをすぐ口に出してしまいますから。本当に申し訳ございません。それだけ新田さんのこと気に入ったとわかってやって下さい」

「あっ、いえいえ、その、分かっていただければ……」

 仁は一先ずほっとした。

「さあさあ、蕎麦ができあがりました。打ちたてですので、早く食べて下さい」

 瞳の祖父は陽気に声を弾ませる。

 これを食べたら帰れる。

 仁も早くすませたいと座布団の上に座った。

 その隣に瞳も座り、恥じらいながら仁を見つめ、その後初々しく新妻気取りながらおろし金でワサビを擦り出した。卸したワサビを仁の器に入れ微笑む。