恋の宝石ずっと輝かせて2


「新田さん、是非うちの孫娘を宜しくお願いします。跡取りなもんで嫁にはやれませんが、新田さんさえ良ければ、うちに来てもらえると嬉しいです」

 唐突に言われた瞳の祖母の言葉は、予想外なだけに仁の頭にはすっと入ってこなかった。

「お祖母ちゃん、ちょっとやめてよ」

 瞳があたふたして注意している。

 二人がいい合いをしているのを尻目に、仁は遅れてその意味を理解して急に慌てふためいた。

「あ、あの、僕、その」

 しかし、どう言葉にしていいのかわからない。

 招かれたからと言って、急に異性が訪ねてきたら家族としては親密な関係と思っても仕方がない。

 楓太に言われたから瞳についてきたなんて説明しても信じてもらえないだろうし、自分はここで何をやろうとしていたのかと思えば後ろめたい。

 仁は上手く否定できずに戸惑っていると、瞳の祖母は真剣な眼差しを向けてまた話し出した。

「新田さん、うちは土地もお金もありますし、ここらでも由緒ある家系なんです。この辺りを祀られてる山神様にも選ばれた一族と申しますか、その世話を代々受け継いでやってるんです。そのご加護でいつも安定した生活送っております。うちに孫息子がいればその後を継いでもらうんですけど、孫はこの瞳だけで、このままだと婿を貰わねばならないんです。新田さんが来て下さったらそれはそれは大歓迎なんです。少し考えてみてくれませんか」

 ストレートに婿を要請している。

 あまりにも圧倒されて仁は驚いきすぎて声を失う。

 はっきりとここで拒否をすればいいだけなのに、この雰囲気に飲まれて強く言えない。

 瞳に助けを請いたいのに、瞳も爆弾を投じられたように自分の祖母の行動に面食らって仁に声が掛けられず困惑している。

 いや、本当は瞳も仁の出方が気になっていたのかもしれない。

 瞳のような大胆娘ならこの状況を利用して、多少の成り行きを楽しんで見ていてもおかしくはないだろう。

 暫く沈黙が続くが、瞳の祖母は真剣な眼差しで仁を見ていた。

 仁は引けを取った弱腰で後ずさりしながら、なんとか声を絞り出した。