恋の宝石ずっと輝かせて2

「な、なんだよその目つきは。まあ、楓太の飼い主貶して悪かったよ。楓太に取ったらご主人さまだから、力になりたかったんだろうけど、こればっかりは……」

 仁が困った顔になりながらも、穏便に事をすませようとまたヘラヘラ笑いで誤魔化した。

 そして突然尖がった声が耳を突き刺す。

「瞳のこと本当に何も知らないでいいのか?」

 楓太の目が何かを問うように鋭く仁を捉えたために、仁はその表情にはっとさせられた。

 自分は何か勘違いしているのではないだろうか。

 もう一度楓太に問い質そうとしたとき、良子が現れた。邪魔が入って何も言えなくなった。

「仁、ご苦労さん。なんだか楓太と気が合うみたいね。あ、そうそう、さっき瞳ちゃんから電話があって、明日午前中に楓太を迎えに来るって言ってたわ。楓太の傷の具合もよくなってきたから、ちょうど良かった。楓太、もう喧嘩しちゃだめよ」

 良子に首元を優しく撫ぜられながら、楓太は「ワン」と返事をするように答えていた。

「仁、今日のところはこれでいいわよ。ありがとうね。助かったわ。また明日の朝、もう一回だけ頼むわ」

「うん、わかった」

 仁は楓太を一瞥しながら答えていた。

 さっきの楓太の態度がどうも気になって仕方がなかった。

「さてと、あともう一つ診察の予約が入ってたんだ」

 良子はあと一踏ん張りと腕を上げて伸びをした。

「そういえばさっき、すごい動物診察してたね」

「まあね、最近、爬虫類もペットとして飼う人珍しくないもんね。犬猫だけって訳にはいかないわ。次の診察の予約も亀なのよ」

「そのうち、アナコンダみたいな蛇もやってきそうだね」

「いくら獣医でも蛇はさすがに大変だわ。毒をもってるのも平気で飼う人いるし、そればかりは蛇専門の獣医を当たってもらわないと。血清まで準備してないわよ」

「そうだよね。人間の医者だって、歯医者、目医者とか専門があるもんね」

「とりあえずは連れてこられた動物は診るけど、手に負えない種類はお手上げだわ」

 良子と話してる間、楓太は興味深く話を聞いているようだった。