恋の宝石ずっと輝かせて2


 仁はしゃがみこみ、優しく楓太の頭を撫でてやった。

「拙者にまだ用でもあるのか?」

 仁は少しでも情報を得たいがために、楓太の側を離れたくなかった。

「どうしても何も教えてくれないつもりなのか?」

 仁もあきらめきれず、しつこくぶら下がってみた。

「お前さんも切羽詰って大変なんだな。それなら一つ教えてやろう」

 その言葉で仁の目が大きく見開いた。期待して耳を澄ます。

「さっきのキジバトだが、明日、瞳が拙者を迎えに来るという知らせだった」

 楓太の情報は、仁をがっかりさせた。

「そんなことを知りたいんじゃないんだけど」

「何を落胆しておる。明日、ここに瞳が拙者を迎えに来るんだぞ。お前さんはその時は必ず拙者の側にいるんだ。今はそれしか教えられない」

「それで何かわかるんだったらいいけど、僕はあの子が結構苦手なんだ。ちょっと遠慮したい」

「瞳はお前さんに会いたいはず。だから必ず拙者の側に居てくれ」

 楓太の目は仁を見据えて懇願している。

「瞳ちゃんは僕のことをなぜか気に入ってくれて、結構大胆につきまとってくるんだよ。それ困るんだよ。遠慮しておく」

 仁は嫌がっている。楓太はそれがもどかしかった。

「お前さんは、瞳のこと何も知らない。もっと良く知るべきだと思う」

「それって、飼い主のために人肌ぬごうとしてるのかい?」

「いや、拙者は寧ろお前さんのために少し力を貸そうと思っただけだ」

「なんだそういう意味か。折角だけど、僕、そういうの間に合ってるから。好きな人もいるし、それに瞳ちゃんは僕のタイプじゃないんだ」

 楓太の目が、哀愁を帯びたようにもの悲しげになった。

 仁の物分りの悪さが残念でならない。