そこからあとのことはあまり覚えていない。
いつの間にか過呼吸は止まっていた。
落ち着いた安心感であたしは寝てしまって、目が覚めたら 心配した様子の上川がまた真っ直ぐあたしを見ていて、なぜだか妙に安心した。
顔を合わせるのが気まずくてすぐ帰ろうとするあたしを追いかけて、心配やから と着いてきた上川。
最寄り駅まで送ってくれた上川は、最後まで心配そうな顔をしていた。
あたしは ありがとうも言えなかった。
バスに揺られて家に着いたあたしは、まだどこか夢見心地で、早々に眠りについた。
タオルはまだ、あたしに握られたままだった。
同級生のあんな姿見て、本当はドン引きしてたんだろうな。
本当に笑えるくらい良い人で、自分と比べて傷ついて、
夜が明けた。
一生懸命、塞ぎ込んで 自分自身を守ってきた 部屋を、彼は簡単に開けようとする。
鍵はないし開ける気もない、そう言っても彼は部屋から離れない。
大丈夫、外からは開かない。
そう思うけど、彼の気配を感じる度にあたしは縮こまる。
今日だけ入れてよ、彼は言う。
違う、と。
1度許してしまったらダメなんだ、と。
何があかんの、と彼は問う。
ここにいるのは、あたしだけじゃない。
信じる強さも、裏切られる悲しみも、全部だ。
言葉を紡ぐあたしの視界に、とうとう彼は入ってきた。
どうやって入ったの!?
混乱するあたしに、彼は言う。
俺もここに住むから、もう大丈夫やで
