太陽に溶かされて



「何しとん?勉強か 」

「.......」

「さすがやなー」



目を合わせない、それだけであたしの拒否反応になるはずなのに彼は話すのをやめない。



「俺さ、携帯忘れてもてさ、先生見つかったらやばいし、なかったら困るしで取りに来てん」



返事をしなくても1人で話し続ける。



「あーよかった机の中や!」



掴めない人だ。


あたしは1度も彼を見ることなく、手をとめなかった。


まだ日は明るかった。



上川が本当はいい人なのかもしれない。

そんなこと分かってた。


でも、もうあたしは信じたくないし、考えることすら億劫だ。


弱くていい、だから、もう、関わらないでほしい。


それだけなのに。






そんな気持ちを知ってか知らずか、上川の純粋なナイフは、あたしを傷つける。