気が重い。
ーーキーンコーンカーンコーン
授業が終わり、一気に騒がしくなる教室。
昼休みだ。
教室で食べる人もいれば、食堂へ行ったり他クラスへ行ったりする人もいる。
あたしもカバンごと持って教室を出た。
向かう先は音楽室。
古びた重たいドアを開けて、彼女たちの姿を見れば、
「やっほー」
「柚奈じゃん」
「...おはよ。萌乃、琴」
...やっと安心できる。
「聞いて。今日もバイト入ってんの!」
最悪、と口を尖らせる萌乃(もえの)。
「さっきからそればっかり!」
ゲラゲラと笑う、笑いの沸点が浅い琴(こと)。
あたしの唯一の友達だ。
偶然あたしのバイト先に萌乃が入ってきて、少しずつ打ち解けるうちに意気投合。
琴は萌乃から話を聞いていたらしく、バイト先に食べに来た時に話をするようになって仲良くなった。
ある日、クラスについて聞かれ、つい莉奈のことも零してしまった。
有り得ない、と萌乃は怒り、琴は珍しく言葉が出ない様子だった。
同じ学校なんだし一緒にお昼食べようと誘ってくれた2人だけど、最初は断った。
莉奈に知られたくなかったから。
でも、気にし過ぎ、と笑い飛ばす2人に根負けした。
今では本当に、心の拠り所だ。
2人がいないと、きっと耐えれていなかった。
