追いついた彼は流れる汗を拭い、あたしに笑いかける。
「一緒に帰ろ」
「...何で?」
「なんとなくや!」
意味がわからない。
「え...あ、歓迎会は?」
「あぁ、断ったで」
わけも分からず、立ち尽くしていたあたし。
「暑いし、喉乾いたし、どっか行かん?」
「あ、うん...」
「ほら、行くで!」
「え!?走るの!?」
突然あたしの腕を掴み 走り出す上川。
「後ろ!見てみ!」
上川の言う通り後ろを見てみると 遠くの方に莉奈たちが見えた。
「なんで逃げてるの?」
「見つかったら強制連行されんねん!」
確かに 莉奈からやりかねない。
だけど、それにしても、いきなりすぎる。
「どこまで行くの!」
「もうちょっと!」
意味わかんない。
こんなに強引な人は初めてだ。
そう思っているのは確かなのに、走るリズムに合わせて、胸が躍る。
不思議だ。
あたしの手を引いて走るその背中が眩しくて、目が離せないーーー。
