「お母さん

あたし、宏太と杏奈に話する

だから、明日病院に呼んで欲しい

お願い…」

「分かった

妃奈は本当にそれで良いんだよね?」

「うん

ちゃんと話する」

「分かったわ

じゃあ明日連れてくるね」

「うん

お母さんありがとう」

その夜あたしは眠れなかった…

2人がどんな反応するのか怖かった…

「おはよ妃奈

宏太君と杏奈ちゃん連れてきたよ?」

「おはよ妃奈

元気だった?」

「おはよ妃奈…」

「ふたりともおはよ

今日は2人に話があるの」

「分かったなんね?妃奈」

「俺も聞いてていいば?」

「うん

杏奈にも宏太にも聞いて欲しいの」

「「分かった」」

「あたしね

肺がんなんだって…

治らないの…

唯一治る方法は移植しかないって言われた…

でもあたしはしない

残り半年しかない命だけどこの半年でやりたいことしな

いのだから、宏太別れようって突然言ってごめんね…?

でも、宏太と戻る気はないよ…?

だから、もうあたしは杏奈とも宏太とも会わない…

バイバイだよ…?」

「待ってよ!妃奈!

あたしやだよ!

お願いさよならなんて言わないでよ!

ずっとあたしの親友で居てよ!」

「妃奈どういうつもりだよ

俺たちが迷惑だと思ってるのか?」

「ううん

そんなことは思わないよ…?

でも、宏太と杏奈は優しいからあたしの傍にいるって言
うよね…?」

「当たり前だろ!

俺も杏奈も妃奈が大切なんだよ!

当たり前いるって言うに決まってるだろ!」

「それが嫌なの!!

宏太も杏奈も優しいからあたしが病気だって言ったらず

っと一緒に居るって言うと思った…

だからだよ!

あたしはそんな優しさ要らない!

辛くなるだけなの!」

「妃奈…

それでもヤダ

あたしは妃奈の親友なんだよ!

もっと頼っていいんだよ!?

迷惑なんて思ってないよ!

思わないよ!

馬鹿妃奈!

勝手にしなよ!

人の気持ちも考えないで!」

そう言って杏奈は病室を飛び出した…

「妃奈

杏奈の気持ちも考えてやれよ」

そう言って宏太は杏奈を追って病室を出ていった…

まさか、これがあのふたりに会うのが最後なんて思って

もなかった…

いや…

分かってたのかもしれない…

ただ、気づきたくなかったのかもしれない…