教室に入ると、クラスは神楽先生の話題で溢れていた。


「朝から挨拶できるとか幸せすぎる!」
「ほんとほんと!学校来てよかったぁ」



───その気持ち、すごく分かります。

心の中で共感し、自分の席に腰を下ろす。
なぜか大人しくなったヨッシーも、私の隣、自分の席に鞄をおいた。



「座んないの?」
「…いや、座るけどさ」
「さっきから大人しいけど、どうしたの」
「神楽先生の目が………いや、何でもない」



神楽先生?神楽先生が何?聞こえなかった。
ヨッシーの口から神楽先生の名前が出てくるのは少し珍しい。
不思議に思いながら、何でもないと言ったヨッシーに、私は深く考えないことにした。