そして私は、おもむろに携帯を手に取り幼馴染みの"ヨッシー"こと風村佳樹(カザムラ ヨシキ)に電話をかけた。

3回ほどのコール音がブツリと切れ、向こう側からのんきな声が返ってくる。



《もしもぉーし》
「ヨッシー…助けて…」
《んぁ?どーしたぁ?》
「ころ…ころされる…っ」
《……は?》



私の震えた声を聞いてか、突如彼の声色が変わる。

落ち着け、何があった?と冷静に話を聞かれ、
手紙がポストに入っていたこと、封筒に差出人名と住所が書かれていなかったこと、卒業式に殺すと書かれていたこと、手紙の1番最後にザクロという名前が書かれていたことを話すと、



《……いやそれ、ゼッテー誰かの冗談じゃん》
「え…?」
《いまその事件話題になってんじゃん?だからそれにびんじょーしたんだろ!》
「……あ、そっか……そうだよね!」



ヨッシーの冗談という言葉を聞いて、自分が最初から鵜呑みにしまくっていたという事実に気付く。
途端に恥ずかしくなって、ヨッシーにお礼を伝えて早々に電話を切った。



(そっか、冗談だよね!)



その可能性を考えなかった自分を笑いながら、部屋を出てお母さんにお腹空いたと伝えると、
さっきの体調悪いのは?と呆気にとられたように聞かれた。