日が沈み始め、ようやく雨も落ち着いた頃。

母から頼まれた買い物に出かけていた私は、買い物袋を右手に提げてポストを開けた。


すると、ポストの奥、チラシや新聞に隠されるように小さな封筒が見えた。

あいている左手でそれを引っ張り出すと、そこには"赤羽あゆは様"と私名前がど真ん中に書かれているだけで、差出人の住所はおろか、名前すらも記されていない真っ白な封筒だった。


ふと、脳裏に今朝のニュースがリピートされる。
狙われているのは高校生から20代の男女。
遺体の近くには手紙。さらにその手紙には差出人名も住所も書かれていない。



一気に嫌な汗が吹き出した。
不気味に感じ、何となく怖くなった私はすぐさま家に入り、母に買い物袋を預けて封を切った。



「手紙?珍しいわね」
「…うん」



ラブレターじゃないの?なんて呑気に笑っているお母さんを無視して、私は中に入っている1枚の紙を乱雑に取り出す。

封筒を投げ捨てるように机に放棄して、ボールペンで濃く書かれたそれを読みすすめ、ゾッとした。




「なに…これ……」



それは、もはや誰かの悪質なイタズラだと思いたくなるような、恐ろしく残酷な内容だった。