「バカみたい。そんなことしても無駄なのに」

廊下を歩きながら、そうつぶやく。強がりじゃない。ホントに、無駄なのだ。

「私、もうすぐ死ぬのに」

私・森谷怜(モリヤレイ)には、時間がない。

きっかけは、転校する前の学校にいたとき。ときどき、心臓あたりの胸が、激し

く痛むようになった。

でも、家が貧乏なのに加えて、所属していた水泳部の大会が迫っていたので、病

院には行かなかった。