もし願いが叶うなら

「正直、歩くのも無理がある状態で・・・。来年の夏までが限界かと」


頭を鈍器で殴られたような衝撃だった。宏は、絶望したように椅子に座り込んだ。


そのあと医師からこれからどうするだの、入院の説明だの、いろいろ言われたが、


全く耳に入らなかった。最後の


「もし自宅療養するなら、水泳はもちろん、運動は、絶対禁止。何があっても心臓


に負担をかけることはやめてください」


と言う声だけは拾った。