「てか、バイト中でしょ? こんなとこで油売ってないで仕事したら?」 「あいにくやることがなくてさーお客さんいないし?」 わたしの隣でボーっと窓の外を見つめる隼くん。 確かに店内はわたししかいない。 って……。 「わたしもお客だし」 「まぁ、そうなんだけど……でも、こんな時じゃないと結衣としゃべれないしさ」 ドクン。 隼くんがどういう意味でその言葉を言ったのかわたしには分からない。 でも、ウソでもそんなふうに言ってくれたことがすごくうれしくて……。 ニヤける顔を雑誌で隠した。