「ねぇ、どうして?

どうして私に会いに来たの?」


わざわざ私の職場にまで来て。


これからも毎週会って欲しいだなんて……。


「どうして崎田君に渡したくないなんて言ったの?」


崎田君が私のことを好きだと知って、もう二人きりで会うのはやめようかって話した時も。


嫌だって言ったのは、秀哉だった。


それから……。


「なんで……。

なんで私にキスしたの……?」


私の手に触れたり、軽く肩を抱いたり、髪を撫でたり……。


秀哉がそんなことをするから。


だから、私は秀哉を忘れられなくて。


変に期待して……。


ますます好きになってしまったんじゃない。


「ねぇ、私って秀哉の何?

つらい時、なぐさめてもらえるから。

自分に都合が良いから会うだけの存在?

私のこと、ずっと利用してたの?」


私の問いに、無言で首を振る秀哉。


そう聞けば、秀哉は否定するだろうけど。


でも……。


「どれだけ私と会ったって。

二度もキスしたって。

結局、秀哉が選ぶのは梨華なんだから。

秀哉に、そんな自覚がなかったとしても。

結果的に……。

利用してたってことに、なってしまうんじゃないかな……」