私たちの六年目

「ねぇ、梨華……」


「ん?」


「梨華は、秀哉のことが好きなの……?」


「え……?」


いきなり私にそう尋ねられて、梨華がひどく戸惑っている。


「あの、えと……」


すぐには答えられない梨華。


その態度が、既に答えだよね。


だって、そうだよ。


大学時代は、ずっと教授のことが好きで。


つい一昨日まで、自分より一回り年上の既婚男性が好きだったんだもの。


それなのに、秀哉と結婚するだなんて。


なんて勝手なんだろう。


「ねぇ、答えてよ。

好きなのかって聞いてるの!」


私は梨華と違って、ずっと秀哉一筋だったの。


穏やかで優しい秀哉。


ちょっぴり天然な秀哉。


くしゃっと目を細めて笑う秀哉。


梨華を思って苦しんでいた秀哉もひっくるめて全部。


もし誰かに彼を好きか?って聞かれたら。


すぐに心の底から大好きだと言えるくらい。


私の心は、秀哉でいっぱいなのに。


それなのに、梨華は……。


自分の罪悪感を紛らすためだけに、秀哉を都合良く利用しようとしている……!