私たちの六年目

片親で育っている守。


だからこそ、余計にそう感じるんだろう。


そんな守の言葉は説得力があって、また話がふりだしに戻ってしまった。


「困ったわね。

一体、どうしたらいいのよ……」


ここにいる全員が梨華の気持ちを尊重してあげたいし、応援したいと思っている。


だけど、現実はきっと私達が思う以上に厳しいのかもしれない。


「産みたいけど……。

やっぱり、あきらめるしかないんだよ。

それが、誰にも迷惑がかからない方法なんだと思う」


梨華が、悲しそうに言った。


「そんな……」


もう本当にあきらめるしかないの?


赤ちゃんを救うことは出来ないの……?


梨華と一緒に泣きたい気持ちになっていたその時。


私の隣に座っていた秀哉が、突然立ち上がった。


どうしたんだろうと思っていた次の瞬間。


秀哉の手がスッと伸びて、目の前にいる梨華の手を取った。


私はその意味がわからずに、ただ二人の繋がっている手を見ていた。


「俺が……、その子供の父親になってやる……」


まさかの秀哉の言葉に、梨華が目を見開く。



「だから、梨華……。




俺と結婚しよう」