私たちの六年目

そう言葉にした途端、ポロポロと涙を流す梨華。


うそ……。


梨華、不倫相手に別れを告げられたの?


「マジで? いつ?」


梨華の隣に座っている郁未が、遠慮もなく尋ねた。


「一昨日……」


一昨日って、つまり2日前ってこと?


だから昨日、私達にメッセージを送って来たんだ。


『みんなに会いたい』って。


「そっか……。それは、つらかったね……」


そう言って、梨華の頭をよしよしと撫でる郁未。


「でも、これで良かったんじゃない? 不倫はやっぱりしないに越したことはないんだしさ」


必死に郁未がなぐさめるけど、梨華の涙は止まりそうにない。


「それにしても突然なんだな。

さっき菜穂に聞いた話だと、一週間前までは付き合ってたんだろう?

この数日の間に、一体何があったんだよ」


そう言った後で、ハッと目を見開く守。


「も、もしかして……。奥さんにバレたのか……?」


守の言葉に、みんなの動きがピタリと止まる。


きっとそうに違いないと、皆そう思ったからだ。


だって、一週間前まで付き合っていたのに、急に別れて欲しいだなんて。


そうとしか考えられない。


バレて修羅場になって、それでこんなにボロボロになっているんじゃ……?


そう思ってひどく心配になったけど、梨華の口から出たのは意外な言葉だった。


「ううん……。


奥さんには、バレてない……」