私たちの六年目

「実は一週間前にね、久しぶりに梨華と電話で話したんだ。

その時に、まだ付き合ってるって言ってたから」


「じゃあなんであたし達、今日ここに呼ばれたの?

あっ、もしかして、その菜穂との電話の後に別れたんじゃない?」


「うーん、そうとも限らないんじゃないのか?

菜穂と久しぶりに話したから、オレらのことが恋しくなったとか」


守の言葉に、納得した様子の郁未と秀哉。


確かに、そうかもしれない。


もともと梨華は、そんなに友達の多いタイプじゃないし。


このまま私達と疎遠になるのは、寂しかったのかもしれないよね。


「だったら梨華、早く来ればいいのにね。

自分がこの時間を指定してきたのにさー」


郁未の言葉を聞きながら、私は隣に座る秀哉の横顔をチラチラと見ていた。


これから梨華に会うというのに、妙に落ち着いている秀哉。


ソワソワしている様子もないし、複雑な様子でもなさそう。


梨華のこと、まだ好きなんだよね?


それにしては、なんだか興味がなさそうだよね。


もしかして、しばらく会わない間に梨華への思いが少し薄れた……?


そうだったらいいのに、なんて。


らしくないことを考えていたその時。


「ごめん。遅くなって」


背後から、やけにか細い声が私の耳に届いた。