私たちの六年目

あれは大学2年の夏だった。


長い夏休みだし、近場でいいから一泊旅行がしたいって言い出して、5人で海へ行くことになった。


海で泳いだり、浜辺でバーベキューをしたり、夜は花火をしたり、それはそれは楽しい一日だった。


だけど、民宿の布団に入ると、私はなぜかなかなか寝付けなくて。


仕方なく浜辺に散歩に出かけることにした。


夜の海は真っ黒で、波の音も昼間より随分と大きくて。


なんだかちょっと怖いなと思っていたら、砂浜に見慣れた男性の後ろ姿が……。


もしかしてと思って近づくと、その人は秀哉だった。


聞けば秀哉も眠れないとかで、外に出ていたらしい。


夜中に会えたことがお互いに嬉しくて、私は秀哉の隣に腰を下ろした。


夜の海を眺めながらおしゃべりする時間は本当に楽しくて。


一体何時間話していたのか、気がつけば遠くの空が明るくなり始めていた。


ようやくいい感じで眠くなって来たのに、もう朝だなんて。


そろそろ部屋に帰って寝ないとまずいのに。


それでもなんだか離れ難くて、そのまま二人ともその場に座っていた。