私たちの六年目

時間にすると、一分程度だったかもしれない。


夢のような甘いキスが終わりを告げて。


私はくたっと、秀哉の肩におでこをもたれた。


肩で息をしている秀哉。


私も呼吸が乱れていた。


繋いだ手はいつの間にかソファーの上に落ちていたけど。


その手は離れていなかった。


「秀哉……」


「ん……」


こんなに近くで秀哉の声がするなんて。


なんだかまだ夢の中にいるみたい。


「これって、何かな……?」


友達同士なのに、キスをして。


まだ手を繋いだままだなんて。


「それは、俺も聞きたい……」


思わず、クスッと笑ってしまった。


「説明つかないんだ……」


「菜穂もだろ……?」


「私は……」


説明出来るよ。


秀哉のことが好きだから。


だから、キスをした。


いや、違うな。


しようと思って、そうなったわけじゃない。


勝手に吸い寄せられた。


そう言った方が、正しいかも。


「ねぇ……」


「ん?」


はぁと長い息を吐くと、私は秀哉のおでこに肩を乗せたまま言った。


「前にも、同じことがあったよね……」