私たちの六年目

「ん……」


優しく触れ合う唇に、頭の中が急激に真っ白になった。


なんだか何も考えられないし、考えたくもない。


秀哉の唇はまるで穏やかな波のように、優しく触れては離れ、触れては離れてを繰り返す。


そのたびに響く甘いリップ音。


私……、今秀哉とキスしてるんだ……。


そう実感した途端、心臓がありえないほどバクバクして、身体中がカーッと火照り始めた。


それは秀哉も同じなのか、唇と繋いだ指先から伝わる体温がどんどん熱を帯びていく。


時折ハッと漏れる秀哉の熱い息。


その余裕のない呼吸が、余計に私の衝動を駆り立てる。


秀哉が顔の角度を変えて、さっきよりも唇が重なる面積がグッと広がると。


その感触になんだか目眩がして、後ろにフラッと頭が傾いた。


その反動で一瞬離れる唇。


すると、秀哉がとっさに右手で私の後頭部を支えて、唇が離れないようにガチッと固定した。