私たちの六年目

思わず、ぎゅっと目を閉じた。


どうしよう。


秀哉に好きな人がいること。


それを知っているのは、私だけなのに。


守や郁未でさえ知らないことを、崎田君が知っているということは。


必然的に、私が崎田君に教えたってことになる。


事実そうだけど、でも……。


秀哉は私を信頼して話してくれているのに、簡単に第三者に話す女だと思われたら、どうしたらいいの……?


「秀哉さんは、その人のことだけ思っていればいいじゃないですか。

それとも……。

その人とうまくいかないから、菜穂さんを身代わりにしてるんですか?」


「もうやめて、崎田君……」


これ以上、私達に踏み込んで来ないで。


口を閉ざしている秀哉。


その沈黙が、ひどく怖い……。


しばらく誰も口を聞けなかったけど、その長い沈黙を秀哉が破った。


「確かに、俺には好きな人がいる。

完全な片想いだし、全く進展もなくて、正直つらいけど。

でも……。

だからって、菜穂を身代わりになんかしない」