私たちの六年目

あまりにも衝撃的なことを言われて、崎田君の可愛い顔が歪む。


「僕のことを何も知らないのに。

どうしてふさわしくないなんて言うんですか……?」


崎田君の問いに、秀哉は私を一度見てから静かに話し始めた。


「だって……。

崎田君が現れてから、菜穂の様子がずっと変だった。

やけに不安そうだし、一言も言葉を発していない。

知り合いの前で菜穂がそういう態度を取るなんてことは、まずありえないから。

これは、何かあるなって思ったんだ」


秀哉、気づいてたんだ……。


私が不安がっていること。


「菜穂は、崎田君に怯えてる。

そんな人に、菜穂は渡さない」


秀哉の目は真剣だった。


そんな秀哉を見ていたら、私はなんだか泣きそうになっていた。


「渡さないって何ですか?

秀哉さんは菜穂さんの何?

兄貴? ボディーガード?

恋人でもないのに、なんで彼女を独占してんだよ」


そんなのおかしい!


崎田君はそう言った後、秀哉をギロリと睨んだ。


「僕……、知ってるんですよ……。

秀哉さんは……」


「さ、崎田君?」


待って。


秀哉に何を言うつもり?


お願い、崎田君。


これ以上、秀哉に何も言わないで……!


「秀哉さんには……。


好きな女がいるんだろ?」