私たちの六年目

「それは無理だな」


秀哉の意外な言葉に、私と崎田君が同時に「えっ?」と声を上げた。


「あの、勘違いしないで欲しいんですけど。

僕は別に友達をやめろって言ってるんじゃないんです。

二人きりで会わないで欲しいって言ってるんです」


「うん。だから、それには応じられない」


崎田君は「はぁ?」と首を傾げた。


「秀哉さん。

僕は菜穂さんに特別な感情があるって言ってるんですよ。

秀哉さんは菜穂さんの恋人でもないのに、僕の邪魔をするんですか?」


「そうだね」


秀哉はあっさりと言い放った。


「崎田君が、菜穂のことを好きなのはよくわかったし。

男の俺と菜穂が会っているのを嫌がる気持ちもわかる」


「だったら……」


「でもそんな理由で、俺は菜穂と会うのをやめたりしない」


崎田君は、ワケがわからない様子だ。


私はと言うと、ずっと心臓がバクバクして。


息苦しくてたまらなかった。


「崎田君が菜穂にふさわしい男なら、俺も喜んで協力する。

だけど、崎田君は菜穂にふさわしいと思えないから」