私たちの六年目

まさかの展開だった。


私の気持ちを話すのかと思っていたのに。


崎田君が話したのは、崎田君自身の気持ちだった。


「秀哉さんも男ならわかってくれますよね?

自分の好きな女性が、他の男性と二人きりで会っているなんて。

そんなの耐えられないでしょう?」


胸の奥がズキンとした。


それは、秀哉が一番よくわかっているはずだから。


梨華が今も不倫相手と会っているなんて。


考えただけで、つらくて苦しくてたまらないよね……。


「そんなわけなんで、秀哉さん。

僕の恋を応援してくれますよね?」


崎田君はゆっくりと歩くと、なぜか私の目の前に立った。


だけど、私の方は一切見ない崎田君。


私はそんな崎田君を、睨むようにじっと見ていた。


「もう、菜穂さんとは二人きりで会わないでください」


え……?


今なんて言った?


私と会うなって言った?


「僕に協力してくれますよね?」


崎田君にそう言われて、考え込む秀哉。


どうしよう。


優しい秀哉のことだから、きっと崎田君に協力するって言うよね?


そうしたら、私……。


もう秀哉と二人きりで会えなくなる……!