私たちの六年目

「結局のところ、梨華はご両親にきつく叱られるのが怖いだけなんだと思う。

それが嫌で避けてるんだよ。

でも思い切ってその懐に飛び込んでしまえば、案外大丈夫だったりすると思うの。

もちろん、厳しく叱られるはずだし。

悲しい思いはしなくちゃいけない。

でも、それを通り過ぎれば、梨華の居場所はちゃんとあるんじゃないかな……」


あのフレンチレストランで見た限り、感じの良いご両親だったし。


なかなか納得出来ないにしても、娘が困っているんだもの。


きっと手を差し伸べてくれると思うんだけどな。


「でも、やっぱり怖いよ。特にお父さんが……」


「うん、その気持ちはすごくわかるよ。

でもね、この機会に思いっきりご両親にわがままを言って、子供返りしてもいいんじゃない?」


「子供返り?」


「そう。

梨華、ご両親にあんまり甘えられなかったんでしょう?

だから、例の彼にもわがままが言えなかったのよ。

でも本当にわがままを言いたかった相手は、実はご両親だったんじゃないの?」


私がそう言うと、梨華がハッとしたような表情を見せた。