私たちの六年目

「私ね、どこか意地になっていたんだと思う。

彼に振られたけど、めちゃくちゃ幸せになってやるんだって。

盛大な結婚式を挙げて、良い部屋に住んで優雅に暮らしてやるって。

そんなことを思っていた気がする。

でも、そうやって形だけにこだわろうとしたって。

中身がないんじゃ、何の意味も持たなかったのにね……。

それより何より、そんなことに付き合わされる秀哉が可哀想だよね……」


梨華は本当にその彼のことが好きだったんだね。


傷ついた反動で、おかしな行動に出ていたんだ。


そういうことなら、これまでの梨華の行動が少しは理解できる気がする……。


「私、秀哉の気持ちなんて全然考えてあげられなかった。

私のワガママに応えようとしたら、秀哉が大変になるのはわかっていたのに。

私のことが好きなら、ご両親に援助してもらってでも、私に尽くして欲しいって本気で思ってたの。

結局私が秀哉にしていたことって、彼が私にしたことと同じだよね。

相手を自分の都合良いように利用したり、無理を強いてみたり。

それがどれだけつらいか、私自身が一番良くわかっていたはずなのに。

もうすっかり私、狂ってたんだわ。

秀哉は大切な友達だったのに、こんなひどい仕打ちをしてしまった。

私、本当に最低だ……」


そう言って梨華は、顔を伏せた。