私たちの六年目

私の言葉を聞いて、納得しているのかいないのか。


梨華の表情があまりに硬くて、よくわからなかったけど。


しばらくして、梨華がふぅと長い息を吐いた。


「よく考えると、秀哉にはひどいことをしていたよね。

私のことを好きなら、これくらいのことはしてくれて当然でしょう?って。

すっかり甘えてしまった気がする……」


梨華がそう言ったから、私は少しホッとしていた。


そのことに気づいてくれただけでも、すごい進歩だと思うから。


「私ね、不倫相手の彼の前では一切わがままとか言わなかったの。

好きだから何でも許して、すっかり都合の良い女になってたの。

でも、本当はね。

思いっきりワガママを言ってみたかった。

私のことが好きなら、奥さんと別れて私のところに来てよ!とか。

もっと会いに来てよ!とか。

でも……。

一度もそんなことを言えずに終わってしまったんだよね。

だから、その反動が秀哉に出てしまったのかもしれない……」


「梨華……」