私たちの六年目

「梨華……」


「ん?」


「秀哉のこと、解放してあげてくれないかな……」


私の言葉に、黙り込んでしまう梨華。


ものすごい執念でここまで来て、今さら引き返せない気持ちもわからないでもないけど。


もう限界だっていうことは、梨華だってわかっているはずだから……。


「プロポーズした秀哉に責任があるって、梨華はずっと主張してたけど。

でも、逆に言うと。

秀哉がプロポーズしてくれたからこそ、梨華は赤ちゃんを産む決意が固まったとも言えない?

だから秀哉は、お金を搾取する相手じゃなくて。

赤ちゃんを産む覚悟を決めさせてくれた、感謝すべき人なんじゃないかな……」