「梨華。俺が好きなのは、菜穂なんだ。

梨華と結婚したって、お前とお前の子供を愛せる自信がない。

そうなったら、俺……。

菜穂と不倫に走るかもしれない。

かつてお前が、篤弘ってヤツと不倫をしていたみたいに……」


自分で言っておいてゾッとした。


もしそんなことになったら、それこそ泥沼だから……。


「それでもいいのか?

愛されてなくても、結婚出来るのか?」


そんな結婚、望んでいるわけないんだ。


寂しがり屋で、人からの愛情に誰よりも飢えている梨華だから。


頼む。


頼むから、ノーと言ってくれ……!


そう願うのに……。


「それならそれで、別にかまわない……」


「は……?」


何を言ってる?


気は確かなのか?


「菜穂と不倫しようがどうしようが、私と赤ちゃんをちゃんと養ってくれるならかまわない。

むしろ慰謝料が入って好都合かも……」


「梨華……。お前ってヤツは……!」


どこまで俺を利用すれば気が済むんだ。


俺が5年以上も思い続けた女性は、こんな残酷な女だったのか?


もう嫌だ。


我慢できない。


だったら俺も遠慮なんかしない。


全面的に戦う……!



「じゃあ俺……、



お前を訴える」