「んん……っ」


ピッタリと隙間なく押し当てられる唇。


私は慌てて両手で秀哉の胸を押した。


だけど、秀哉の力はものすごく強くて、ピクリとも動かない。


秀哉は時折甘いリップ音を立てながら、何度も角度を変えて私の唇を奪っていく。


そのキスは次第に深さを増して。


私の中で優しく絡み始めた。


秀哉と交わすキスは、これが三回目だけど。


こんなにディープなのは初めて。


ねぇ、どうして?


梨華と結婚する人が、なんで私にこんなことをするの?


こんなこと、絶対しちゃダメなのに。


その時、一瞬だけ唇同士が離れて。


その隙に、私はスッと顔を逸らした。


「だ、だめ」


もうこれ以上はだめ。


そう思うのに、すぐに唇を追われて再び重ねられた。


あぁ、どうしよう。


秀哉のキスが、あまりに甘くせつなくて。


その感触に、だんだん身体が痺れていく。


ついに力が抜けてカクッと膝がしなると、秀哉は私をさらに強く抱きかかえて、絶対に離れないように固定した。


そんな秀哉に、いつの間にか私も必死にしがみついていた。


まばらに人が残る会場内。


小さなテントの中で。


私と秀哉は心の赴くまま、夢中でキスを交わした。


もう……。


何も考えられなかった……。