「あ、そうそう。結婚式のことなんだけど。

いくつか会場を絞ってみたから、今度二人で見学に行ってみない?」


「えっ、もう?」


「私、赤ちゃんが産まれてからじゃないと結婚式は無理かなって思ってたんだけど。

8月末で会社を辞めたし、今は時間があるから、式の準備を頑張れると思うの。

だから会場さえ空いていたら、早めに式を挙げたいなって」


9月に入って、梨華のLINEが急激に増えたのは。


仕事を辞めて、時間が有り余っているからなんだ。


郁未や守にも、沢山LINEをしているのだろうか。


なんだか、ちょっと心配だ。


「なぁ、梨華。

部屋を探すとか、式場を探すとか言ってるけど。

資金はどうしようと思ってるんだ?」


部屋を新たに借りるとなると、敷金礼金が必要だし、引っ越し費用もかかる。


さらに結婚式を挙げるとなると、いくらお祝儀で多少まかなえると言ったって、梨華の要望に全部応えていたら、相当な額になりそうなんだけど。


俺の問いに、なぜか無言になる梨華。


俺はそれが不思議で、目がパチパチとしていた。


「え……?


そんなの……。


秀哉が全部、払ってくれるんじゃないの……?」