崎田君の言う通りだった。


秀哉が私に会いたいと言ったのは、片想いのつらさを紛らわすため。


気を遣わずになんでも話せて、気持ちがラクになるから。


崎田君に渡したくないって言ったのも、そういう相手がいなくなるのは困るから。


キスをしたのだって、梨華の代わりにされたんだ。


梨華としたくても出来ないから。


たまたまそばにいた私とそんな雰囲気になって、流れでしてしまっただけ。


説明がつかないって言ってたんだから。


特に理由なんてなかったんだ。


それなのに、私は何を期待していたんだろう。


決して美人ではない私。


人前では泣けない私。


なんでも自分で出来てしまう私。


頼りにされてしまう私。


梨華と私は、まるで正反対だ。


そもそも私は秀哉の好みのタイプじゃないのに、馬鹿過ぎる。


もっと早く、あきらめていたら良かった。


そうしたら、こんなに傷つかずに済んだのに。


こんなに、苦しまずに済んだのに……。


「ごめんね、秀哉。

5年間の恋がやっと実ったのに、祝福出来なくて……」


秀哉の幸せをいつも願っていたけれど。


それは、私と幸せになって欲しいのであって。


他の人と幸せになって欲しいわけじゃなかったんだ……。