食事を終えたあとは、ユキが夏までやっていたバンドのライブ動画を見せてくれた。

「えっ、うま……」

ユキがギターボーカルのスリーピースだったことにとにかく驚いた。ボソボソ喋るくせに歌えるなんて反則だ。

「あ、多田さんにさ」

「うん?」

「ツインギターにしたいから正式加入してよって言われた」

「わーそうなんだ! 入るよね?」

「沙奈は入ってほしい?」

ユキはわたしの顔を覗き込んだ。真っ黒な瞳が、少し楽しげに弧を描く。

もちろん、と答えたわたしに、じゃあ入ると言ったユキが軽くキスをする。3回、4回と繰り返しているうちに、それはどんどん深くなる。

背中がゆっくりと布団の上に落ちていった。

知らない天井、頬を撫でる長い前髪。

「好きすぎて死にそう」

うん、わたしも、死にそう。