暗くて少し寒い道を、ユキと手を繋いで歩いた。そういえばおなかすいたね、なんて言って、途中でコンビニに寄ってお弁当を買った。

たったそれだけで、ただ一緒にいるだけで、泣きたいくらい幸せになる。

ユキのアパートに着いて部屋に入る瞬間、一瞬だけ迷った。

……いや、迷った素振りをしただけだ。いい子ぶっただけ。

6畳くらいの広さのユキの部屋は、家具が極端に少なかった。ベッドすらなくて、布団が敷きっぱなし。でも、それこそその布団までモノトーンで統一されていて、まるでわたしの部屋みたいだ。

黒い布団を座布団代わりにして、コンビニ弁当を広げて食べる。大して会話するわけでもないし、別に美味しいわけでもない。

でも、ユキと一緒というだけで、どうしようもなく幸せ。

こんな感情、やっぱりわたしは知らない。