一度触れてしまったら、気持ちが洪水のように溢れ出して、止まらなくなった。

「好き」

唇を離したユキは小さく呟いて、またわたしに口付ける。

「沙奈、好き」

ユキの薄い唇がもう一度そう動いた時、わたしはそれを自分から塞いだ。

だって、好き。どうにもならないくらい。好きすぎて、1ミリも離れたくない。離れたら苦しくなる。

こんなに胸が切なくなるキスなんて、わたし知らない。

「今日、このまま一緒にいたい」

ユキが放った言葉の意味を理解して、頬がかあっと熱くなった。

「ダメ?」

「……ダメ、じゃない」

こんなのダメに決まっている。それはちゃんとわかっている。

でももう、どうにもならないの。

だから、いっそ、全部捕まえて。